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さくら・はるねクリニック銀座 培養室です。
今回は、凍結融解胚移植におけるグレード別の妊娠率、出産率・継続妊娠率のデータをご紹介したいと思います。
胚盤胞の形態評価(グレード)の方法であるGardner分類についてよく知らないという方は、こちらのブログをご参照ください。
当院で2022年~2024年に凍結融解胚盤胞移植を実施した1882症例が対象となり、臨床妊娠率は移植あたりの胎嚢確認、出産率/継続妊娠率は移植あたりの生児出産/非流産妊娠で算出しました。
胚盤胞凍結あたりのグレードが占める割合

図:妻年齢別 凍結した胚盤胞あたりのそれぞれのグレードが占める割合
当院で凍結した胚盤胞のうち、どのグレードが多く凍結されているかを示したグラフです。
良好胚盤胞のうち、最も凍結される割合が多いのは、最良好胚であるAAグレードであり、最も少ないのはBAグレードでした。
当院では、原則BB未満の胚盤胞を凍結しないため、AC/BCグレードの凍結が占める割合は少なくなっています。
患者様の年齢が上昇するにつれて、AAグレードを凍結できる割合が緩やかに減少していきます。
反対に、AC/BCグレードを凍結する割合は40歳以上の患者様で多くなりました。
胚盤胞グレード別の妊娠率および出産率/継続妊娠率
〇 全年齢

図:胚盤胞グレード別 臨床成績 全年齢
グレードが高いほど、妊娠率および出産/継続妊娠率が高い事がお分かりいただけるかと思います。
当院では、AA>AB>BA>BB>AC/BCの順に成績が良い結果となっています。
また、AC/BCの胚盤胞でも妊娠、出産例があることが分かります。
〇 35歳未満

図:胚盤胞グレード別 臨床成績 35歳未満
女性の年齢が35歳未満の症例のみに限定した成績です。
全年齢よりもAAの成績が良好で、BAとBBの差がほぼなくなっています。
理由としては、35歳未満の若い症例の方では、ほとんどの場合AA胚盤胞を凍結することができるため、それ以外のグレードの胚盤胞を移植する症例数が少ないことが挙げられます。
AC/BCを凍結することはほぼなく、それらを凍結・移植することになった症例は、特別に胚盤胞への発育が不良な症例でした。
〇 35歳以上

図:胚盤胞グレード別 臨床成績 35歳以上
女性の年齢が35歳以上の症例のみに限定した成績です。
全体としての成績が低下しているものの、概ねグレード順の臨床成績となっています。
その中でも、やはりAAグレードの成績は最も良好で、35歳未満のBBよりも数値的には高くなっています。
AC/BCを移植する症例は35歳未満よりも多くなるため、妊娠・出産例が確認できています。
胚盤胞のグレードは、年齢によって多少の解釈の違いが生まれるものの、凍結と移植の優先度を決定する指標としてとても有用です。
これらのグレードは、胚盤胞の染色体異常とも相関し、流産や正常胚の妊娠率にも関与するという報告もあります。
一方で、100%の精度で妊娠や正常胚を予測できる指標ではないことも重要だと思います。
グレード以外のパラメータも胚盤胞の評価として利用できる可能性があるため、今後ブログでご紹介していきます。
さくら・はるねクリニック銀座
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