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[宮本院長監修] 患者様からのよくあるご質問 その1

さくらはるねクリニック銀座院長の宮本敏伸です。

ここでは毎日の診療で患者様からよくあるご質問についてお答えしていきます。

Q 1. 体外受精(ART)の時の採卵(卵を取ること)は痛いのでしょうか?麻酔などはしないのですか?

A 1. 採卵時の麻酔の仕方は施設によっていろいろです。当院でまず採卵30分前に喘息、薬のアレルギーなどがなければ患者様の体重に応じてボルタレンの座薬を使います。次に手術室に入室したら静脈麻酔を軽くかけます。軽くかけるというのは完全に眠ってしまわない程度、うとうとする程度にします。そして超音波で卵を取るために針を刺す(穿刺)部位にキシロカイン(歯医者さんと同じ局所麻酔)を膣壁に局注します。患者さんの中には静脈麻酔で完全に眠った状態を希望される方もたまにいらっしゃいますし、そういった施設もなくはないのですがこれは一つ問題があります。完全に眠っているので眠っている間は全く痛くないです。しかし、目を覚ました途端両側の下腹部に激しい疼痛を覚えます。なぜなら静脈麻酔には沈静効果はありますが痛みを取る効果が基本的にないからです。

大学病院勤務時代によくドクターヘリに患者様をのせましたが、患者様にはヘリに乗る前に吐き気止めを飲んでいただきます。いったん船酔いしてから吐き気止めを使ってもあまり効果がないのと同じです。吐き気止めを使うなら船に乗る前に内服していただきます。また歯医者さんに通われている方はご存知だと思いますが昔と違って今の歯医者さんは上手にキシロカインの局所麻酔を使うと治療中の痛みは極めて軽度です。ただし、痛いのは局所麻酔であるキシロカインを歯茎に打つ時です。よって当院では30分前にボルタレンの座薬投与、静脈麻酔による沈静を行った後に局所麻酔を行っています。採卵自体は10分程度ですので、ほとんどの患者様からは思っていたよりずっと楽だったと言っていただいております。

 

Q2. 体外受精は40歳未満で6回、43歳未満で3回まで健康保険がきくと聞きましたがこの回数はどのように計算するのでしょうか?

A 2. 40歳未満6回、43歳未満3回まで保険適応とは胚移植(卵を患者さんの身体に戻す行為)の回数です。当院は全国的にも主流である凍結融解胚移植を原則的に基本としておりますが、まず採卵して受精卵を得て良好胚(妊娠率の高い卵)を凍結します。この段階ではまだ0回です。その後胚移植を行って初めて保険の1回を使用したことになります。よって妊娠率が高い卵を戻すのも、あまり高くない卵を戻すのも同じく1回の保険回数を使用したことになります。また一度保険診療で受精卵を凍結すると、妊娠率の低い卵を破棄して再度採卵することは保険では認められておらず、一度凍結したら胚移植をしなければなりません(保険で移植できる回数が減っていきます)よって当院では妊娠率の高い採卵後5日目もしくは6日目までに4AA,4AB, 4BA, 4BB, 4ACまで(別紙記載の通り)が凍結の対象となります。

日本産婦人科学会は移植する胚は原則1個であり、35歳以上または2回以上胚移植しても不成功だった場合に2個移植を許容するとしています。上記の決まりから35歳から39歳までの方は1回2個を6回まで合計12個の胚移植、40歳以上43歳未満の方は1回2個で3回までの胚移植で合計6個の保険での移植が理論的には可能です。しかし、我々のゴールはただ単に妊娠することではなく母子ともに健康な赤ちゃんを授かることを目的にしておりますので患者様の年齢が35歳以上であっても、胚移植は原則1個としております。

 

Q3. 現在28歳の共働きの夫婦です。ともに仕事が忙しく今すぐに子供が欲しいわけではありませんがいずれ子供が欲しいので多数の受精卵を凍結しておきたいのですが、、、、、

A 3. 1回目の採卵で上記にて述べました基準の良好胚を4個凍結できたとします。若いうちの卵をより多く凍結しておきたいという患者様のお気持ちはとてもよくわかります。しかし、保険診療では凍結した卵をすべて移植しきるまで次の採卵は行ってはいけないことになっています。(自費診療でも構わなければ可能です)よって保険で採卵を繰り返して良好胚をためていくこと(貯卵といいます)は禁じられています。

 

Q4. 私たち夫婦は子供が大好きです。5人くらいほしいです。しかし、保険で体外受精して移植するのは6回までと聞きました。先生のクリニックは妊娠率が50%から60%と聞きました。確率から行くと3人が精一杯でしょうか?

A4. 結論から先に申し上げますと5人もしくはそれ以上も可能です。保険診療で移植できるのは6回と申し上げましたが1回目の移植で妊娠し、出産した場合今後保険で移植できるのは何回かというと6回です。これは2回目の移植で妊娠、出産した場合も同様です。お産されましたら保険適応回数はまた最初の6回に戻ります。よって体外受精で保険診療にて7人以上のお子さんを分娩されることは理論的に可能です。

 

Q5. 体外受精を希望していますが、仕事は続けられますか?

A5. はい。ほとんどの患者様は仕事と不妊治療を両立しながら妊娠に至っています。体外受精のために行う排卵誘発の注射は10日間くらい毎日行うものの、今は自宅においてご自分で行える自己注射で通院は不要です。よって外来通院は主に超音波検査で卵の発育を確認するための3回から4回程度であり、また当院では平日仕事が終わってから通うことができる夜間外来を行っており、土曜日や祝日も終日診療を行っております。休みを取らなければいけない日を、極力採卵当日のみなどにできるように対応しています。仕事と治療の両立は可能ですので患者様にはどうか仕事を辞めないで下さいとお伝えしております。

 

Q6. 主人は海外出張など仕事が多忙で2~3日前に採卵日が決まっても精液採取ができるかどうか全くわかりません。どうすればよいでしょうか?こちらからあらかじめ指定した日に採卵していただけますか?

A6. 排卵誘発して採卵して良好胚を凍結する。ここまでのステップは正直結構大変です。何故かというと採卵日、外来受診日などは患者様やご主人の都合や我々医療者側の都合ではなく卵の成長に合わせて日程が決まっていくからです。よって仕事の都合などでなかなか受診できないとどうしても採卵数、受精率、良好胚盤胞獲得率、妊娠率を下げてしまう要因になります。よって当院では平日19:30まで夜間外来の受付を行い、土曜日も午前午後ともに外来を行うことによって、できるだけ仕事に支障がなく不妊治療が行えるように心がけております。また大村理事長の不妊治療のオリエンテーションも予約制で日曜日の午後に行っています。

これは、国立大学もしくは総合病院ではほとんど不可能なことです。また奥様が専業主婦の場合、比較的受診日や採卵日の都合はつきやすいですが、ご主人がどうしても土曜日しか仕事の都合で精液採取ができないとおっしゃる患者様もいらっしゃいます。この場合、20年以上前はご主人の都合の良い日が採卵日になるように奥様の排卵誘発方法を調整しておりましたが、これは非常に効率が悪い方法です。今はこういったケースでは保険診療に入る前に事前に上記事情を確認しておき、ご主人の精子をあらかじめ凍結しておき、卵の成長がベストな日に採卵を行い、当日は凍結精子を解凍して顕微授精を行います。当院ではこの方法でも妊娠率50%以上を維持しております。

 

Q7.32歳の女性です。妊娠した経験がありません。今回初めて体外受精を行い良好胚盤胞が4個凍結できました。しかし、2回胚移植を施行したものの妊娠には至りませんでした。今後どうすればよいでしょうか?

A7. 当院に通院されている患者様でまだお子さんが一人もいらっしゃらない比較的お若い患者様の多くは今後の治療で2人くらいお子さんが欲しいと思われています。当院の妊娠率は50%を上回っているので良好胚盤胞を2回移植して妊娠しなかった患者様は少数派に入ります。よって何も考えずに残っている胚で3回目の移植を行うことは通常行いません。ここは一度立ち止まって何故着床しないのかを精査します。着床不全の検査として子宮内膜炎の検査であるCD138、25OHビタミンD,甲状腺機能検査などがありますが、上記は初診時もしくはその後比較的早期の段階で患者様全員に行っています。また子宮内環境を精査する先進医療である子宮内フローラ検査を採卵時に行っています。

また、着床の窓(患者様の子宮内膜の時間と移植した胚の時間があっているかどうか)を調べる先進医療であるERA検査を行うこともあります。ERA検査の結果が出るのに通常4週間~5週間はかかりますので、その間何もしないでただ結果が出るのを待つのではなく着床率を上げる要因になるスクラッチ法(先進医療)を行います。住民票が東京都の方は先進医療にかかった費用の70%の補助があります。

また自費診療になりますが、子宮鏡検査、Th1/Th2細胞などを調べてもよいと思います。上記はすべて患者様と相談しながら進めていきます。

 

Q8. 30歳の女性、結婚して3年になります、特に避妊もしていないのに妊娠しないため、病院で不妊症の検査を一通りしましたが、主人も私も検査結果はすべて正常でした。不妊症の検査結果が正常なら特に治療をしなくともこのまま自然に妊娠できますか?

A8. 日本産婦人科学会では結婚して通常の夫婦生活を1年間行っても妊娠しないカップルを不妊症と定義しております。すべての検査が正常の場合不妊の原因がないのではなく原因不明であり、これを機能性不妊症と呼びます。原因がないのではなく、今ある不妊症の一般検査では原因がわからないといったほうが正しいでしょう。機能性不妊症では不妊期間が長ければ長いほどタイミング療法、人工授精などの一般不妊治療のみでは妊娠成立が困難であり、お若い患者様でも不妊期間が2年以上であれば一般不妊治療で妊娠できる患者様は10~20%程度といわれております。逆に言えば80~90%の患者様は一般不妊治療では妊娠できないことになります。これは機能性不妊症では不妊症の検査ではわからない原因が潜んでいる可能性が高いと考えられているためです。具体的には

① 卵管は通過性があるが、卵管采が卵子をうまく取り込めない(ピックアップ障害といいます)、精子や胚を運搬できない、

② 精液検査は正常なのに受精しない(受精障害:これは体外受精を行って初めてわかることが多いです)

③ 子宮は解剖学的には正常だが胚を着床できない(着床障害)

上記が機能性不妊症の代表的な原因です。これらの原因に対して一般不妊治療は全く無力であるため、人工授精までの一般治療を数回行って妊娠成立しなければ早めに体外受精(ART)に移行することをお勧めしています。

Q9. 初診の時に必ず血液検査で甲状腺機能を調べると聞きましたが、それは何故ですか?

A9.  近年の報告では顕性甲状腺機能低下症のみならず、甲状腺ホルモン値が正常で甲状腺刺激ホルモン(TSH)のみが高値である潜在性甲状腺機能低下症でも不妊症や流産、早産が関与し、かつ甲状腺ホルモン製剤であるレボチロキシン(商品名:チラージン)を補充することで、生児獲得率が向上することがわかってきました。また母胎から胎児への甲状腺ホルモンの移行が不足すると、生まれてくるお子さんの知能に影響し、IQが低下する可能性があると報告されています。よって当院では初診時に必ず血液で甲状腺機能検査を行い、異常を認めた場合直ちに生殖医療を熟知した甲状腺内科医に紹介して治療をお願いしております。

 

Q10.初診の時に必ず血液検査でビタミンD濃度(25OHビタミンD)を検査すると聞きましたが、それは何故ですか?

A10. ビタミンDは食事や日光浴により蓄えられるビタミンで、古くから骨形成に関与することが知られており、新生児くる病との関連が有名です。貯蔵型ビタミンDである25OHビタミンDは30ng/ml以上が望ましいとされていますが、日本人不妊女性の80%以上がこの値を下回っていることがすでにわかっています。40歳以上の女性では自身が所持している卵の数を反映する抗ミュラー管ホルモン(AMH)とビタミンD濃度が正の相関を示し、ビタミンD摂取によりAMHの上昇が期待されると報告されています。またビタミンD欠乏(10ng/ml以下)で卵胞発育や妊娠率の低下、20ng/ml以下で着床障害が増すとの報告やビタミンD欠乏で不育症のリスクが上昇するなどの報告があります。一方、ビタミンD濃度が高いと(30ng/ml以上)体外受精の妊娠率が良いとの報告もあります。よって初診の検査にてビタミンDが不足していると診断された患者様には積極的にサプリメントを勧めています。

 

その1は以上です。

今後、定期的に更新していきます。

 

さくら・はるねクリニック銀座

院長 宮本敏伸

 

 

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