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[宮本院長監修] 患者様からのよくあるご質問 その4

患者様からのよくあるご質問 その4

Q 31. 今通っている病院で当院では挙児希望の患者さんは全員子宮鏡の検査を行ってから治療を開始しますと言われました。全員子宮鏡を行っているので予約がかなり先まで埋まっていて、一番早く入れても検査は2か月以上先ですと受付で言われました。それならばできるだけ早く子宮鏡検査ができるところを自分で探して1日も早く不妊治療を開始したいと夫婦で話し合いましたが、先生のところはどうしていますか?

A 31. まず子宮鏡の検査で得られる情報は多く有意義な検査であることは間違いありません。しかし、体外受精を行って良好胚を凍結保存した患者さんに対して、胚移植前に全員子宮鏡検査を行ったグループと子宮鏡を一切行わずすぐに胚移植したグループを比較検討したところ両者の間に妊娠率の差は認めませんでした。よって不妊症の患者様全員に子宮鏡の検査を義務付けることは世界的には否定的な見解が多いです。しかしながらQ30のところで述べましたように慢性子宮内膜炎検査陽性の患者さんや超音波検査で子宮内膜ポリープが疑われる患者さんには積極的に子宮鏡を行い精査することは極めて有効です。結論から申し上げますと、ただ漫然と子宮鏡の検査を全員に行うのではなく、本当に検査が必要である患者様をよく見極めてしっかりと検査することが重要です。

 

Q 32. 日本ではなぜ凍結融解胚移植を選択することが圧倒的に多いのでしょうか?新鮮胚移植との違いについて教えてください。

A 32. 私は24歳で医師になり2年間長崎大学医学部で遺伝学、アメリカ合衆国NIHで4年間発生学の研究を行った期間以外はほとんど全ての期間、日本の大学で不妊症の臨床、研究、教育に従事してきました。学生さんに不妊症の講義を毎年行っておりましたが、日本では圧倒的に新鮮胚移植より卵を1度凍結保存し、時期をみて融解して移植する、凍結融解胚移植のほうが多く行われており、2019年のデータでは妊娠出生数および妊娠率も凍結融解胚移植では54,188人(35.4%)新鮮胚移植では5,410人(21.0%)と凍結融解胚移植のほうが圧倒的に多く、また妊娠率も高いこと、両者の妊娠率の差はここ数年でさらに広がっていることを説明すると、講義終了後必ず複数の学生さんが私のもとに来てどうしてですか?信じられないと私のもとに質問に来ます。お肉やお魚など凍結、解凍したものは生のものより明らかに鮮度が落ちているし、ヒト受精卵の凍結、融解法の技術の進歩により凍結胚は新鮮胚とほとんど遜色がなくなりましたというのならばまだ理解できます。しかし、新鮮胚移植より凍結融解胚移植のほうが妊娠率において10%以上も上回っているのは到底理解できませんと学生さんは口をそろえて言ってきます。これに対するお答えとして、簡単に述べますと採卵して体外受精するときはあくまでも卵巣から良質は卵子をできるだけ多数回収し、受精率を上げ、できるだけ多くの良好胚盤胞を得ることを最大の目的にしており、子宮内の様子に気を配ることがないからです。多数の卵子を採取するためには排卵誘発を行い、その結果通常の排卵期とは全く異なるホルモン値になり(エストロゲンの値は自然周期の軽く10倍以上になります)、また採卵前に勝手に排卵してしまわないようにお薬を使います。この排卵を抑制する行為そのものが着床率を下げる原因になります。よって新鮮胚移植で妊娠率が凍結胚移植と同程度の結果を得るためには基本的に一切排卵誘発をせずに1個採卵してその卵が良好胚盤胞になったら新鮮胚移植を行うということになりますが、これは自費診療であれば可能ですが今の保険制度にはそぐわない方法です。

 

Q33. 体外受精の前日はほとんど何もすることがないと聞きましたが本当ですか?

A 33. はい。それは本当です。体外受精に向けて毎日排卵誘発の自己注射をうって患者様は皆さん頑張ってこられました。超音波検査も最低3回は行います。そしてついに月曜日の外来で超音波検査をして卵胞の状態はもう十分、とても良い状態ですよ、水曜日の午前中に採卵をしましょう、卵は10個以上取れそうですよとなりました。採卵に向けてHCG(今はオビドレルという自己注射が主流です)やGnRHa(商品名はスプレキュア、ブセレリンなど)を水曜日の朝9:30採卵のために手術室に入るなら月曜日の22時にHCGの注射かGnRHaを22:00と23:00の2回、水曜日の朝10:00に手術室なら月曜日の22:30にHCGか22:30と23:30にGnRHaを2回投与することになります。採卵前日の火曜日は何もすることがないのですか?とよく聞かれますが、はい、何も有りませんとお答えしています。何故ならHCGやGnRHa投与開始から34時間から36時間後までが採卵のベストタイミングだからです。よって採卵前日は特段何もすることがないのです。

 

Q34. 初診時に問診で過去の妊娠歴の有無を聞かれますが、どうしてですか?

A 34. お子さんが欲しいと奥様が初診されたとき、通常過去の妊娠歴を伺うのはこの領域での常識とも言えることです。患者様には言いにくいこと、言いたくないこともあるかと思います。例えば17歳の時妊娠してしまって人工妊娠中絶をされたとか、今結婚4年目だが結婚して半年で今の御主人のお子さんを身ごもったが、妊娠7週で流産したとか。思い出したくも無いことと思います。ただ我々不妊症医にとってはこれはとても重要な情報です。

まず先にも述べましたが子宮は歳を取らない、変わらないと言う点です。1回でも妊娠したことがあれば、手術などによってよほど子宮の状態が変わらない限り奥様の子宮は妊娠出来ること、今まで1度も妊娠したことがない同年齢の患者様より妊娠しやすいことが予測されます。ましてや今の御主人と自然に妊娠したことがあるとなると、御主人がその後抗癌剤の治療や放射線治療など精子に悪影響を及ぼす特別なことを行っていない限り御主人の精子は妊孕性(妊娠する力)が保たれていると判断されます。これは精液検査値が正常であることすらも上回る可能性があります。よって患者様に失礼を承知で問診させて頂いております。

 

Q35. 初診時に月経痛、性交痛、排便痛の有無について聞かれました?これは何か今後の妊活と関係があるのでしょうか?

A 35. 初診の問診で上記のことを伺うのは子宮内膜症がありそうかどうかを確認するためです。本来子宮内膜症の診断とは腹腔鏡下手術などを行って子宮内膜症と思われる組織を摘出してそれを病理検査(癌の診断などを行う組織学的検査です)に出して子宮内膜組織が卵巣、腹膜、直腸表面など子宮体部以外の他の場所に存在する(異所性増殖といいます)ことを確認して初めて診断がつきます。しかし、子宮内膜症は非常に多い病気で全員に手術を行うわけでは無く、手術に至る患者さんはごく一部です。よって症状と内診所見、超音波検査などから子宮内膜症を診断しこれを臨床子宮内膜症と呼びます。子宮内膜症は現在不妊症の原因の重要な部分を占めています。子宮内膜症の治療は薬物療法では低用量ピル、プロゲスチン製剤であるジェノゲスト、月経そのものを止めるGNRhaなど多岐にわたり、上記の治療を6ヶ月くらい行うと子宮内膜症による卵巣腫瘍(子宮内膜症性嚢胞、チョコレート嚢腫とも言います)が小さくなることが期待されます。なおこの薬物療法中は妊娠出来ません。では卵巣腫瘍が小さくなってその後不妊治療を再開したとします。妊娠率はあ上がるのでようか?答えはNoです。半年間妊娠するチャンスを遅らしただけで卵巣腫瘍が小さくなっても妊娠率は変わりません。では子宮内膜症性嚢胞を手術(腹腔鏡下の卵巣腫瘍切除術が主流です)で摘出したとします。卵巣腫瘍が無くなって妊娠率がその後あがるか?答えはNoです。子宮内膜症は周囲と強く癒着(くっついている)していることが多く、手術で卵巣腫瘍だけを丁寧に取ろうとしてもどうしても正常な卵巣組織も一緒に取れてしまいます。術前のAMHと術後のAMHでは術後に下がっているのが一般的です。では内膜症がある不妊症の患者様にはどのような治療が良いのか?

諸説がいろいろありますが積極的に不妊治療を行い(早めのARTも含めて)妊娠成立を図ることです。妊娠、出産を経ると女性の身体は大きく変わります。内膜症も改善することは珍しくありません。

 

Q36. 体外受精でついに妊娠しました。すると担当医からまず第一段階クリアーですねと言われました、となると第二段階というのはあるのでしょうか?もう治療が成功したのではないのでしょうか?

A 36. 妊娠4週0日の段階で血液検査にてHCGというホルモンを測定します(ご自宅おいてご自分で妊娠判定される場合は尿中HCGを測定します)。施設によって基準は若干異なりますが妊娠4週0日において血液検査でHCG値が20IU/L以上で妊娠判定陽性と診断される場合が多いです。よって妊娠4週0日でHCG>20IU/Lで第一段階クリアーとなります。続いて妊娠5週0日になると超音波検査で子宮の中に胎嚢というこれから赤ちゃんが育つお部屋を観察することができます。超音波検査で胎嚢が確認されたら第二段階クリアーとなります。妊娠5週を過ぎているのに、そして血液検査でHCG値が1,000IU/Lを超えているのに超音波検査で胎嚢が子宮内に確認できない場合は異所性妊娠(子宮外妊娠)を疑わなければいけません。子宮の中に受精卵を戻しているのに何故子宮外妊娠が起こるのか?これまで様々なメカニズムが議論されてきましたが今もって確固たる原因は判明しておりません。妊娠6週0日になると超音波検査で胎児(赤ちゃん)の心拍が確認できます。これで第三段階クリアーです。患者様の年齢にもよりますが、一般的に胎児心拍が確認されるとその後の流産率は下がります。流産とは妊娠に伴う最も多い合併症の一つです。その後当院では妊娠8週まで週に1度の割合で外来通院していただき、妊娠8週で無事当院を卒業となり患者様が希望される分娩施設に紹介します。

 

Q37. 40歳の結婚7年になる女性です。先日他院で体外受精予定でした。卵子を育てるために毎日毎日排卵誘発の注射を打ちましたが結局超音波検査で卵胞が1個も育っていないので今回はキャンセルしましょうと言われました。原因を聞くと担当医から私のAMHが0.22と低く、私の身体にはもう卵はほとんど残っていないとのこと、これだけの量の排卵誘発の注射を打っても卵が育たないのであれば、どこに行っても同じ結果だと言われ愕然としました。うちに帰って主人に話すとそのAMHの値は排卵誘発する前からわかっていたのではないか?なぜお金と時間をかけて無駄なことをしたんだと主人にまで叱られ、悲しくなりました。私は本当にもう体外受精をしても意味がないのでしょうか?

A 37. 毎日毎日痛い思いをしながら排卵誘発の注射を打ち、結局卵胞が育たず体外受精が行えなかったとのこと。さぞ辛かったことだろうとお察しします。結論から申し上げます。体外受精をあきらめるのは、早すぎます。何故なら次に卵胞がそれなりの数(3個以上)育ち、採卵し体外受精が行えること。そして体外受精の結果できた受精卵を用いて妊娠できる可能性が十分に残されているからです。

まず前医での排卵誘発剤の種類、量、投与日数などを知りたいところですが、AMHが最初から低値であることがわかっていた上で排卵誘発を開始したことを考えるとそれなりの量を毎日注射したことが考えられます。よって当院で治療するならばフェマーラやクロミッドなどの内服の排卵誘発剤を月経開始2日目もしくは3日目より1日2錠を5日間飲んでいただき(自費診療であれば1日3錠内服することも可能です)内服が終わるあたりで一度超音波検査を行い排卵誘発剤の注射を追加していきます。この場合排卵誘発の主役はあくまでも最初に処方した内服薬です。このような方法で2個から5個、もしくは7-8個くらいの卵胞を育てることは十分に可能です。なお前医の先生をかばうわけではないのですが、AMH値は体外受精の排卵誘発剤の決定のために有力な情報になりますが、絶対的なものではありません。AMH値が患者様のように0.22でも上限量の排卵誘発剤の連日注射で卵が育つ場合もあります。また同じ患者様でも前回と全く同じ排卵誘発方法を行っても発育する卵胞数は微妙に異なることの方が多いのが現状です。もう一度申し上げます。決してあきらめないでください。

 

Q38. 前回顕微授精(ICSI)を行いましたが、受精率が悪くせっかく10個採卵出来たのにが胚盤胞を凍結出来ませんでした。すると先生から次はPICSI二しましょうと言われましたが、これはそもそもどういうものなのでしょうか?

A 38. ICSIの登場は重度男性不妊症や受精障害の患者様に1匹の精子でも妊娠出来る可能性をもたらした技術であるが、その精子の選別は胚培養士による精子の形態や運動性によるもので多分に経験や主観による部分が多いのが現状である。精子頭部の形態が正常と判断された精子の中にも染色体異常が含まれていることが知られている。成熟精子には高密度のヒアルロン酸レセプターが形成されており、成熟精子はヒアルロン酸に結合でき、ヒアルロン酸に結合した精子は染色体異数性やDNA断片化の割合が低い。このヒアルロン酸結合能を評価してから精子選別をするICSIをphysiologic-ICSI(PICSI)と呼び、ICSIの効果は高まり、流産率の改善も見込まれます。このPICSIも先進医療に含まれており当院では必要な患者様に対して行なっています。

 

Q39. 体外受精で良好な胚盤胞を2回移植したのに妊娠しませんでした。担当の先生から着床しない原因を調べるために子宮内フローラを行ないましょうと言われましたが、これは具体的にどういうものなのでしょうか?

A 39. 子宮内膜は腟内と比べ細菌量が100~10,000倍少ないと推定され、通常の細菌培養では菌は検出されないことがほとんどであり、これまで無菌状態であると考えられてきました。しかしながら、近年のDNA配列を決定する技術の向上、次世代シークエンサーなどを用いることにより子宮内の細菌組成を網羅的に検出することが可能となり、子宮内細菌叢の乱れが妊娠率の低下に関連することが明らかとなりました。子宮内のラクトバシルス(デーテルライン桿菌、乳酸桿菌)が90%以上の場合は90%未満の場合と比較して妊娠率、妊娠継続率および出生率が統計学的に有意に高いことがわかってきました。従って当院では子宮内フローラ検査を行なってラクトバシルスの比率が低い場合には抗菌薬投与、ラクトフォルテ(腟剤)やラクトフェリン(経口)などのサプリメントを使用してラクトバシルスの比率を改善させてから胚移植を行なっています。この子宮内フローラ検査も先進医療に含まれ当院では積極的に行なっています。

 

Q40.できるだけ顕微授精(ICSI)はおこなわないで自然に近い通常の体外受精を行ないたいと担当の先生につたえるとRescue ICSIはどうしますか?と聞かれたのでそれはどういうものですか?と聞いたところ、助けるICSIですと言われ何のことだがわかりませんでした。Rescue ICSIとはどういったものなのでしょうか?

 

A 40. 体外受精後の完全受精障害あるいは低受精率は3.5~20%の頻度で起こると報告されており、現在のところ受精障害を予測するための精子検査法が全くないわけではないが、全症例に対して受精障害を完全に予測することは不可能です。当初は媒精後(体外受精で精子をかける行為)18~20時間の体外受精翌日に前核が確認されていない卵に対してICSIを行なっていましたが(1day old ICSI)、これでは体外で卵子の老化がすでに起こっており発生能が著明に低下しており臨床上の有用性は極めて乏しい結果でした。その後2003年に通常の体外受精において媒精6時間後に早期受精判定(卵丘細胞を除去し第二極体放出の有無を確認する)を行い、第二極体の確認されない卵子に対し、その時点でICSIを追加するrescue ICSI(early rescue ICSI)が報告され、通常のICSIと同等の受精率、良好胚率、胚移植あたりの妊娠率であることが認められました。またearly rescue ICSIによる出生児に対する安全性に関してこれまで様々な検討がなされてきたが、いずれの報告においても通常のIVFやICSIと比較し、出生児へのリスク増加は認められていません。よってご主人が次も通常のIVFをどうしても希望されるのなら保険をかける意味でも、early rescue ICSIの追加を希望されることをお勧めします。

 

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